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認知症と冷蔵庫

食べ物が腐らない魔法の箱

戦後の高度経済成長期ど真ん中を生きてきた高齢者の皆さん。

テレビ・洗濯機・冷蔵庫…腰を抜かすほど便利な家電が登場しました。不便が当たり前だった生活と便利な生活の両方を知っている訳ですから家電に対する好感度は相当高いのではないかと思われます。

好感度=信頼度

とはかなり乱暴ですが、ウチの母江さんに関してはコレがドンピシャでして

『冷蔵庫に入れておけば絶対大丈夫』

と世の真理を知り尽くしている体で言い放ちます。

当然私の脳裏に「腐敗」の文字が浮かぶ訳で、まぁその辺の話をすると

『オホホそりゃいつかは腐るわよー「しばらく大丈夫」って事よー』

OKその意見には私も賛成。

でも母江さんの「しばらく」には悠久なる時の流れを感じるのです…おお偉大なるナイル…。

 

 

認知症で独居の冷蔵庫

いちいち言い争いをしたくないが為に放置していた私もいけないのですが、日々ギュウギュウに詰まってゆく冷蔵庫がもう気の毒になってきて(ついでに食中毒も怖くって)恐る恐る母江さんに提案。

「少し片付けようか?」

「いいわよぉまだ食べられるわよぉもったいない」

 

あ、うん。私このやりとり知ってるwワイドショーとかの再現ドラマでやってる認知症特集のアレだ。知ってる知ってるーウフフー。とゴロンと横になっても何一つ解決しないのでちょっと考えます。

さて、どうしたものか。

 

ちなみにこの時点での冷蔵庫内。閲覧注意。

 

高齢者と冷蔵庫1

 

 

改めて見ても「ムム!やるなぁ母江」とアゴをさすりながら唸ってしまいます。とても一人暮らしの冷蔵庫とは思えません。

 

恐らく母江さんの目の高さ&手前に見えてるモノ以外はまさしく眼中に無く、奥には年代物のアンティーク食材が静かに眠っております。

認知症の方は「見て見ぬふり」をしているのではなく「見えていても一瞬で把握、理解できる量が少ない」のだと思います。

 

 

 強行作戦 冷蔵庫の電源を抜く 

何はともあれ、どうすれば争うことなく心穏やかに食中毒を防止できるか。

食品を一個づつ「どうする?捨てる?」ってやってたら日が暮れるどころか二人ともどんどん老い朽ち果てる一方なので、いっぺんに処分する方向で考えました。

 

結果『故障のふりをする』というデンジャーな作戦を決行することに。

バレたら信頼関係は壊滅(冷蔵庫問題は忘れても油断ならないヤツだという記憶は残る可能性がある)して、今後の介護に多大な影響が出る事必至。

自信が無い方にはおススメできません。イチかバチかです。

 

まず、母親とはいえ人を騙す事実と目的を自分にしっかり言い聞かせる

あくまで本人の食中毒予防の為

一週間ほど冷蔵庫のコトは放置して話題に出さない。冷凍庫に保冷材を入れておく。

決行日は生ゴミの日の前日に。時期は秋冬がおススメ

母江さんがトイレへ行ってる間に冷蔵庫のコンセントを抜き

ダミーのコンセントをさしておく(うっかり母江さんに見られてもいいように)

一時間後くらいに「飲み物ちょうだい」とか言いつつ冷蔵庫開ける

故障を母江さんに告げて修理依頼の電話(のふりをする)

「業者さんが「詰め過ぎが原因かも。冷蔵庫をカラにして一日様子を見て下さい」だって」と伝える

 

ここまでうまくいきました!さぁココからは母江さんの反応をみながらの作業。とにかく「私はアナタの味方です」というスタンスを崩さずに仕分けします。

「故障のせいで腐っちゃったモノは仕方がないから処分しようか」

と、あくまで腐ったのは母江さんのせいではなく「冷蔵庫の故障」のせいにします。

これは効き目アリ!母江さんもほとんどOKしてくれました。

 

大丈夫そうな食品は段ボールに保冷材を入れて一晩保存。段ボールには大きく「冷蔵庫・食品」と書いておけば母江さんも見れば納得してくれます。逆に捨てるモノはすぐ隠しました。

 

で、結果。

 

高齢者と冷蔵庫2

 

 

キレイになりました!こんなチャンスないのでもうペッカペカに磨きましたよ。

棚はいちいち拭くより全部外して風呂場に持っていって洗いました。

クタクタです。旦那の晩ご飯はお弁当で決定です。

 

※実はこの作業、一日じゃ終わらず翌日に持ち越しになってしまいました。しかしその日の晩に母江さんの容態が急変してそのまま入院。だからこんなにキレイサッパリ処分できたのです。本人がいたら腐ったものを片付けるだけで精一杯でしたからネ…。

 

 

ゴミの分別が大変

食品のほぼ全てがタッパー、プラスチック包装、瓶、缶、お皿…必ず何かに入っているので分別に時間がかかりました。

ここで活躍してくれたのが小さなビニール袋。

ビニール袋に手を突っ込んで食品を鷲掴みにしてひっくり返してギュっと結んでポイします。正直おぞましい見た目になっている食品がわんさかあったので、「諸行無常!諸行無常!!」と脳内で叫びながらとにかく掴んで縛って捨てるという作業を繰り返しました。

 

母江さんの入院決定後は、本当に冷蔵庫内をカラにしなければならなくなったので速攻ゴミ回収業者にお願いしました。

あの時はもう病院に通ったり引っ越し先を探したりで心が粉々になっていたので金にものを言わせてお皿以外の冷蔵庫内全てをゴミ袋に突っ込んで持って行ってもらいました。

(ちなみに数件の業者さんに問い合わせたのですが、どこも「生ゴミは通常のゴミより高い」との事。45ℓ一袋3000円ナリ)

 

でもあの分別作業をしなくて済むなら安いもんです。もうちょっと高くてもお願いしてたかも…。

 

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